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Travel around Art :ドイツ・ベルリンアート情報

Solidarity with Ukraine『ウクライナへの連帯と支援活動』(2)

新ナショナルギャラリー『Our Space to Help』

前回に引き続き、ウクライナとの連帯と支援活動について、今回はドイツ国内で行われている具体的なアクションや連帯表明を紹介する。(前回記事↓)


新ナショナルギャラリー『Our Space to Help』

昨年リニューアルオープンを迎えたベルリンの新ナショナルギャラリー。同美術館では3月6日、7日の二日間にわたり、ウクライナ支援のための寄付アクション『Our Space to Help』が開催された。
『Our Space to Help』は新ナショナルギャラリーのディレクターであるKlaus Biesenbachがベルリンを拠点に活動するアーティスト、アンネ・イムホフ(Anne Imhof)、オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson)並びにそのアーティストチームと共同で企画。中央のオープンマイクではアーティストや来場者が現状に対する自身の考えや音楽を発表するなど、助け合い、交流の場として美術館上階を無料開放し、来場者に寄付を募った。
プロジェクトはベルリン・ビエンナーレ、ギャラリー・ウィークエンド・ベルリン、Akademie der Künste、Berlinische Galerie、グロピウス・バウなど、ベルリンの主要美術館・アートスペースの協力も得ている。

新ナショナルギャラリー『Our Space to Help』: 3月6日、7日(~24時)
https://www.smb.museum/nachrichten/detail/our-space-to-help-spendenaktion-in-der-neuen-nationalgalerie-am-5-und-6-maerz-2022/


K20『Stop War – space for solidarity im K20』

デュッセルドルフのK20美術館でも新ナショナルギャラリーと同様の取り組みが3月12日から始まった。同美術館はウクライナ及び戦争で被害を受けた人々への連帯を表明すると同時に、美術館に「space for solidarity(連帯のための空間)」を設けることを発表。「連帯のための空間」は助け合い、連帯の場として無料開放され、毎週土曜日にはワークショップやディスカッション、映画上映会などのイベントが継続的に行われる。

K20美術館 『Stop War – space for solidarity im K20』:毎週土曜日11時~18時
https://www.kunstsammlung.de/de/exhibitions/stop-war-space-for-solidarity


ドクメンタ15

キュレーターチーム、ルアンルパは、当初から、社会的なプロジェクトや世界的な不正に対するリアクションが、体制側を喜ばせる古典的な「良いアート」よりも重要であると明言している。
ドクメンタ15(6月開催)は会場となるFridericianumにルーマニア人アーティスト、Dan Perjovschiの『Anti War Drawings 2022』のバナーを掲げ、ウクライナへの連帯と反戦を表明した。また、6月18日から9月25日までの会期中には、Dan Perjovschiによる「私たちの緊急課題」についてのアクションも予定されている。
社会的な芸術祭として知られるドクメンタが現状に対する政治的な問題提起を行うことは間違いないだろう。


クラウディア・ロート文化大臣の提言

ドイツのクラウディア・ロート文化大臣はドイツ国内の劇場や美術館で、ウクライナの芸術と文化の発展を訴える講演を行い、美術館、劇場、文化施設に「ウクライナの芸術をもっと紹介しよう」と提言した。
クラウディア・ロートは芸術や文化を通じてウクライナへの連帯を呼びかけると同時に、ウクライナ侵攻後のロシア文化への過剰なボイコットにも警笛を鳴らしている。
「多様で豊かなロシア文化は、ヨーロッパの文化遺産であり、現在のヨーロッパ文化の一部である」と述べ「プーチンによって私物化されることは許さない」と、ロシアのプーチンを名指して批判した。

“ロシアの芸術と文化も見せてください-ロシアでは今、多くの人々が声を上げ、ウクライナへの攻撃を非難しています。” “ベラルーシの文化を見せてください-人々は民主主義のために懸命に戦ってきましたが、ウクライナが国から侵略されているのを目撃しなければなりません。” “もっと民主化が脅かされたすべての国のすべての文化を見せ、これらの国の同僚と助け合い、一緒に戦うのです “


ベルリン芸術大学(UdK)がウクライナの学生を支援

ベルリン芸術大学(UdK)がロシアのウクライナ侵攻を強く非難し、連帯することを表明。現在ウクライナにいる、あるいは避難中の学者、学生、アーティストに対してビザ、住居面での支援対策を打ち出すと同時にウクライナから逃れてきた学生を当面のあいだ、学生、ゲストとして迎え入れることを発表した。UdK在学中のウクライナ人、ロシア人学生に関してはカウンセリングなどを通して、精神的なケアもしていくという。

“私たちは、今生活を脅かされているウクライナの人々や、ウクライナの学生、教師、その家族や愛する人たちのことを気にかけています。私たちは、ウクライナで被災したすべての人々、そして同じくロシアで命がけで反戦デモを行っている人々と連帯します。また、BIPoC(黒人・先住民・有色人種)がウクライナから近隣諸国に逃れる際に直面する構造的な人種差別を非難します。現在ウクライナにいる、あるいは逃れてきた学生、学者、芸術家、文化人を支援するための具体的な支援策が実行に移されつつあります。連帯基金、難民のための宿泊施設、心理的サポート、ビザや居住に関するアドバイスなど、さまざまな活動を行っています。さらに、大学の学生や教員による取り組みもあります。

#UdKinSolidaritywithUkraine プレスリリース

その他、ドイツの多くの美大がSNSやHPを通してウクライナとの連帯を表明している。ハンブルク美大(HFBK)ではウクライナから逃れてきた美大生を対象に通常より簡略化した手続きで、夏ゼメスター(4月)から受け入れる方針を発表。また、ライプツィヒ美大(HGB)は難民の為の学習プログラム『Abendakademie(夜の大学)』を開設するなど、各大学が独自の支援対策を打ち出している。以下、インスタグラムでのウクライナへの連帯表明を紹介する。(その多くは政治的弾圧のため国を追われることとなったロシア人やベラルーシ人、国内で反戦デモを行うロシア人などへの連帯も強調されている。)
ベルリン芸術大学、ハンブルク美術大学、ニュルンベルク美術大学、ライプツィヒ美術大学、ブレーメン芸術大学、カールスルーエ芸術アカデミー、バウハウス大学、ドレスデン美術大学


ウクライナへの支援

  • 寄付をする。現物支給の場合は、それが本当に必要なものかどうか確認する。
    ベルリンの難民支援団体Be an Angel e.V. 。寄付金は全額、ウクライナからベルリンに逃れてきた難民への支援活動にあてられる。この記事へのサポート(投げ銭)は全額この団体への寄付金として使わせていただきます。

    Be an Angel e.V.  
    Konto: 014 522 59 00 
    BLZ :100 708 48 (Deutsche Bank)
    IBAN: DE37100708480145225900  
    BIC: DEUTDEDB110

    Be an Angel e.V.のHPからオンラインでの寄付も可能。
    www.beanangel.direct

    その他の支援団体、Caritas InternationalDeutsche Rote Kreuz (ドイツ赤十字)など

Solidarity with Ukraine『ウクライナへの連帯と支援活動』


3月上旬のある日、ベルリン中央駅に立ち寄ると、黄色と青のウクライナ国旗と矢印が書かれた案内が多く目についた。気になってその先に進んでみると、U5(地下鉄)の入り口にたどり着く。
一時的な避難所として、食料や飲み物、衣服の無料配給ほか、寄付金の呼びかけや情報共有の掲示板、Free Wifiまで避難民が必要とする最低限の物資・情報が手配された駅構内。「バス、食べ物、住居」と、誰がみてもわかるような簡易的な紙の案内が掲示板に貼られ、近辺には避難してきた人のみならず、ボランティアスタッフ、自宅のスペースを提供しようする人や取材陣まで大勢の人で溢れていた。
ポーランドを経由して逃れてきたウクライナ難民の玄関口として、こうした避難所はベルリン各所に増え続けており、ロシアを非難し、ウクライナと共にあるという連帯の輪は現在「Solidarity with Ukraine(ウクライナへの連帯)」「No War(反戦)」のスローガンのもとデモや支援といったかたちで世界中に拡大している。

1ヶ月前から数千人から1万人のウクライナ難民が連日、ベルリンに到着している。ドイツは2015年にも多くの難民を受け入れたがそれとは比較にならない状況だという。一時的な休憩所となった駅構内には食料、飲み物、衣服の支給スペースほかワクチン接種所もあった。ベルリンの避難所(旧テーゲル空港、ホステルなど)はすでに満員状態、あるいは短期的な滞在しかできないこともあり、ここから別の街に向かっていく難民も多い。

ウクライナ語の情報が貼られた駅の柱


人々が助け合い、支援の手を差し伸べるこのような光景がメディアに大きく取り上げられるいっぽう、難民への人種差別や偏見といった問題も同時に浮上している。ウクライナの国境検問所で人種差別的な対応が起きているように、さまざまな背景も持つすべての難民が無条件で受け入れられているわけではない。
中国のアーティスト、アイ・ウェイウェイがインタビューで、そうした問題や欧米のダブルスタンダードについて次のように語っていたのが印象的だった。

「新聞を開いて、差別についてどれだけ小さなスペースしか与えられていないか見てください。あるいは、アメリカのアフガニスタン侵攻がどれだけ議論されなかったか。1週間でのウクライナの報道は、30年間のアフガニスタンの報道を上回っています。なぜ誰もイエメンでの戦争について語らないのか?人の命の価値はそれぞれ違うのか?私たちは、こうした対立を知りながら、気にも留めていない。」

https://www.derstandard.de/story/2000134231225/ai-weiwei-der-westen-ist-scheinheilig


これまでもドイツやヨーロッパを批判し、物議を醸してきたアイ・ウェイウェイ。「西洋は偽善者だ」という彼の発言はともすれば「連帯」に対する冷笑的な意見ともとれるが、アフガニスタンやギリシャ・イドメニなど世界中の難民キャンプを訪れ、難民問題と向き合い続けてきたアーティストの言葉として、少なくとも私のようなドイツに住む一外国人にとっては説得力があった。
ヨーロッパからしてみれば、他の紛争と違い、今回は全面戦争に発展しうる当事者だからこその連帯表明なのだろう。それでも実際に手厚いサポートを受けているのは同じ色の目と肌をもった「隣人」であり、BIPOC(黒人・先住民・有色人種)やウクライナの永住権を持たない外国人、留学生の一部は、肌の色や国籍といった序列により「選別」され、同様のサポートやケアを受けられない状況に置かれている。他の紛争地域から逃れてきた難民に至っては今回の特例を受けることすらできない。

ロシアによるウクライナ侵攻はもちろん強く非難されるきべきことであり許されないが、「ウクライナとの連帯」というスローガンによってかき消された小さな声もそこには存在する。連帯によって生じる断絶や差別もまたあってはならない。先に述べた人たちへの対応はもちろん、母国に帰りたくても帰れないロシア人留学生らの精神面・金銭面でのケアも早急に必要だろう。

ブランデンブルク門前の反戦デモ


自分の住んでいる世界とは関係ない、戦争は私たちの生きる世界では起こらない、これまでニュースで見聞きしていた紛争をどこか他人事のように眺めていた人は少なくないと思う。
私自身「ウクライナの連帯」を声高に叫べば叫ぶほど、これまで起きていた争いに対する自らの無関心や差別意識が炙り出されるような気がした。それでもただその推移を傍観しているよりは現状に対して声を上げ、何かしら行動を起こすべきだと思う。


ウクライナへの支援

  • 寄付をする。現物支給の場合は、それが本当に必要なものかどうか確認する。
    ベルリンの難民支援団体Be an Angel e.V. 。寄付金は全額、ウクライナからベルリンに逃れてきた難民への支援活動にあてられる。この記事へのサポート(投げ銭)は全額この団体への寄付金として使わせていただきます。

    Be an Angel e.V.  
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       BLZ :100 708 48 (Deutsche Bank)
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    Be an Angel e.V.のHPからオンラインでの寄付も可能。
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    その他の支援団体、Caritas InternationalDeutsche Rote Kreuz (ドイツ赤十字)など
  • ボランティア活動に参加する
  • デモや集会、イベントに参加する
    K20美術館『Stop War – space for solidarity(連帯のためのスペース)』など
    https://www.kunstsammlung.de/de/exhibitions/stop-war-space-for-solidarity
  • 正しい情報を共有する
  • 宿泊場所を提供する
    https://www.unterkunft-ukraine.de